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使用済み紙おむつを新しい紙おむつに再生 ユニ・チャームが発表

紙おむつ国内最大手のユニ・チャーム株式会社は、使用済み紙おむつを新しい紙おむつに再生する事業を始めることを発表しました。

使用済み紙おむつのパルプから完全に排せつ物を取り除くのは、技術開発などでコストがかさむ上難しく、また処分時は水分を含むため、重さが3~4倍になることなどから、個別回収も難しく、紙おむつの「水平リサイクル」(※1)の取組はこれまで進んでこなかった。

しかしユニ・チャームは自社のリサイクル設備で、回収した使用済み紙おむつを破砕し、取り出したパルプをオゾンで滅菌し、新品パルプと同等の品質に戻す技術を開発した。また個別回収についても、2016年以降、鹿児島県で実証実験を進めノウハウを蓄積してきた。

ユニ・チャームの新事業は自治体と組み、使用済みの紙おむつを個別回収する。提携する自治体は今後詰めるが、2020年度中にまず東京都内で試験的に開始し、再生紙おむつは2022年に発売を予定している。そして2030年までに、全国10カ所以上のリサイクルセンターなどに設備を導入する計画。こうした紙おむつの「水平リサイクル」は、世界初となる。

環境省の調査によると、一般廃棄物に占める紙おむつの量は、2015年度の年間で約191~210万トン・割合は4.3~4.8%に対して、2030年度には、年間で約241~261万トン・割合は6.6~7.1%まで増加することが見込まれています。

再生紙おむつが普及すれば、焼却費用や二酸化炭素の削減につながり、また消費者や投資家が環境対応の取組などで企業が持続的に成長できるか否かを判断する「ESG」(※2)の流れにも対応することとなります。

※1:水平リサイクル
紙製品をリサイクル前と同じ紙製品にするなど、何度も同じ商品に作り替えることで、資源を長期間、循環させられる方法。代表的なものが「ボトルtoボトル」と呼ばれる、 回収したペットボトルを原料(樹脂)に戻して再びペットボトルをつくる方法。

※2:ESG(イーエスジー)
企業が持続的に成長できるか否かを判断する指標として用いられる、Environment(環境) Social(社会)Governance(ガバナンス)の3要素の総称。

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