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「第68回全国学校給食研究協議大会」鹿児島県で開催!

平成29年11月、鹿児島市に全国から学校給食関係者が参加し、2日間にわたり『「生きる力」を育む食育の推進と学校給食の充実~維新に学び、食でつながり、食で育てる、健やかな子供~』を主題とし、学校における食育の推進を図るため、重要な役割を担う学校給食の在り方について、以下の内容で研究協議が行われました。

【展示会 会場の様子】

【大会のお弁当「さつま御膳」】

1.大会概要 

1)主題
『「生きる力」を育む食育の推進と学校給食の充実
~維新に学び、食でつながり、食で育てる、健やかな子供~』
2)趣旨
学校における食育を推進する上で重要な役割を担う学校給食の在り方について研究協議を行い、併せて学校給食関係者の資質の向上を図る。
3)開催日
平成29年11月9日(木)・10日(金)
4)開催地
鹿児島県鹿児島市
5)主催
文部科学省、鹿児島県教育委員会、鹿児島市教育委員会、全国学校給食会連合会、公益財団法人鹿児島県学校給食会
6)後援
鹿児島県小学校長部会、鹿児島県中学校長部会、鹿児島県特別支援学校長部会、鹿児島県学校給食センター連絡協議会、鹿児島県学校栄養士協議会、鹿児島県PTA連合会

2.全大会概要

1)文部科学省説明
演題:「学校における食育の推進」
文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課 課長 三谷卓也
文部科学省初等中等教育局 学校給食調査官 齊藤るみ
2)特別講演
演題:「彩のある食と音楽」
講師:辛島 美登里 氏(シンガーソングライター)

3.分科会

1)開催日
平成29年11月10日(金)
2)各分科会と研究主題
(1)第1分科会 小学校における学校給食を中心とした食育の在り方
研究主題
「学校給食を教材として活用し、小学校における食育を推進するためにはどのようにしたらよいか」
(2)第2分科会 中学校における学校給食を中心とした食育の在り方
研究主題
「学校給食を教材として活用し、中学校における食育を推進するためにはどのようにしたらよいか」
(3)第3分科会 特別支援学校における学校給食の在り方
研究主題
「児童生徒の障害に応じた学校給食の提供及び食に関する指導はどのようにしたらよいか」
(4)第4分科会 学校経営における食育の在り方
研究主題
「学校経営の中に食育を位置付け、栄養教諭を活用しながら食育を推進するためにはどのようにしたらよいか」
(5)第5分科会 学校給食における地場産物・国産食材の活用方策
研究主題
「学校給食において、地場産物・国産食材の納入体制の整備及び活用を推進するためには、どのようにしたらよいか」
(6)第6分科会 学校給食における食物アレルギー対応の在り方
研究主題
「食物アレルギーに対応した学校給食の提供及び個別的な相談指導はどのようにしたらよいか」
(7)第7分科会 和食を中心とした献立の提供と栄養管理の在り方
研究主題
「和食を中心とした献立作成と児童生徒の実施に基づく栄養管理を行うためにはどのようにしたらよいか」
(8)第8分科会 学校給食における衛生管理及び危機管理の在り方
研究主題
「安全かつ安心な食材の選定及び衛生管理を徹底するためにはどのようにしたらよいか」

4.大会参加者のまとめ

弊社は今大会第1日目の展示会に出展し、2日目の分科会に参加して受講しました。その内容を以下の通りご報告します。
分科会当日は、いずれの会場においても、活発な研究討議が繰り広げられました。

【第5分科会 学校給食における地場産物・国産食材の活用方策】

①兵庫県芦屋市立精道小学校 事例
・芦屋市産農産物が全くないため、淡路市と連携し「県産県消」で取り組みを開始。
・地産地消(県産県消)を家庭に広めるため「芦屋の給食オシャレな街のおいしい献立」を出版し、好評を呼んでいる。

②大分県佐伯市立佐伯小学校 事例
・水産業が盛んだが、魚離れが深刻化している。県で「魚離れ対策実験事業」を立ち上げ、幼稚園ではベープサートを活用し、魚の命の大切さや食べ方を学び、小学校では毎月1回「尾頭つきの魚を食べる日」を設定している。また食育通信を配布し、家庭からも賛同を得ている。

③鹿児島県姶良(あいら)市立加治木小学校 事例
・毎月19日を「地元の食を考える日」と設定し、給食食材に地場産物を活用し、また伝統料理を提供。
・農家と協力し、希少野菜「隈(くま)原(はる)人参」の規格外品を、ゼリーやドレッシングに加工し、給食で使用。

①②③の事例発表から、兵庫県芦屋市と、食材が豊富で自然豊かな大分県佐伯市・鹿児島県姶良市では、地場産物の内容・量共に地域差がありますが、地域や家庭と連携しながら、それぞれの地域の特性や状況に応じて、積極的な取組を行っておられる様子がよく分りました。このような取組を通して、子供たちが地場産物や食文化について学び、地域の活性化につながっていると実感しました。

【第6分科会 学校給食における食物アレルギー対応の在り方】

平成27年3月、文部科学省から公表された「学校給食における食物アレルギー対応指針」を踏まえながら、各自治体において食物アレルギー対応マニュアルの作成や見直しが実施され、次の3件の研究発表を基にして、熱心な協議が行われました。

①岡山県立早島支援学校 事例
・緊急時は隣接する南岡山医療センターに約10分で搬送する体制が整えられており、教職員は日常的に訓練を実施。
・エピペン所持児童が在籍しているため、学校医を講師に招き、研修を実施。

②徳島県三好市立箸蔵小学校 事例
・これまで三好市では除去食・代替食の提供が行われていなかったことから、提供方法や対応する食物の検討を行い、対応する食物を発症数の多い特定原材料7品目とした。
・児童生徒の理解を深めるため、栄養教諭が保護者との面談に参加し、信頼関係を構築。

③鹿児島県出水市立野田小学校 事例
・食品のアレルゲン情報等の管理については、栄養計算ソフトによる食品情報管理と帳票を工夫し、事務効率を高め、誤配防止につなげる。
・除去食・代替食の提供は、個人用のランチジャーを活用。今後は、食器提供を検討。

上記3件の事例発表の後、昭和大学医学部小児科学講座の今井孝成先生から、アレルギー事故防止に向け、組織間の方向性が異なることもあるが、現場を知る栄養教諭が中核となり、保護者・学校・主治医・医師会・消防機関と連携を取り、安全を最優先とした給食環境作りに学校全体で取り組むことが大切であるという講義を受け、とても意義ある学習となりました。

今大会に参加し、「食育」は子供たちの生きる力を育み、社会形成能力の育成にもつながる大切な授業であると、改めて実感するとともに、学校・家庭・地域社会をつなぐコーディネーターとしての栄養教諭の役割がいかに重要であるか再認識いたしました。

小原 扶美子
髙岡 里江 記