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ペットボトル100%再生に向けて「清涼飲料業界プラスチック資源循環宣言」

昨年2018年11月29日に、一般社団法人全国清涼飲料連合会は「清涼飲料業界プラスチック資源循環宣言」を発表しました。

この宣言は、プラスチックの資源循環や海洋プラスチック対策について、生活者や政府・自治体・NPOなど関連団体と連携しながら、【2030年度までにPETボトル(※)の100%有効利用を実現するため】に、短・中・長期で取組を設定し、「海洋ごみゼロ世界の実現」及び、「持続可能な社会の実現」に貢献することです。

清涼飲料業界が、廃プラスチックによる海洋ごみ問題に業界をあげて取り組んでいる中、サントリーホールディングスは、2030年までに新たな化石燃料を投入せずに、再生PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂と植物由来の素材を組み合わせて、代替、循環させ、すべてのPETボトルを再生するシステムを確立すると発表しました。

清涼飲料業界は、これまでも積極的に資源循環に取り組んでおり、その結果、世界の中でも日本は、非常に高水準のPETリサイクル率を達成している。PETボトルリサイクル推進協議会調べによると、「2017年度の日欧米のPETボトルリサイクル率」は、米国で20.1%、欧州で41.8%、日本は84.8%である。しかし、PETボトルが散乱しているという現実もあるため、もうひとつ上のレベルで取り組むための「清涼飲料業界プラスチック資源循環宣言」である。

サントリーホールディングスは、現在販売している飲料ボトルに、使用済みPETボトル由来の再生PET樹脂を1割ほど使用している。この割合を2030年までに、6~7割に高め、不足の3~4割を植物由来の樹脂で作る予定としている。

植物由来の樹脂は、マツの間伐材や砂糖を作った後のサトウキビから作る。米国企業のアネロテック社と共同開発に取り組み、原油由来のPETボトルと同程度のコストでできると判断し、米国に新工場を設ける。2023年に稼働し量販に踏み切り、2024年ごろには100%植物由来のPETボトルを使用した飲料も販売する予定としている。

また、再生PET樹脂については、容器を効率よく作るシステムを栃木県にある協栄産業株式会社と共同開発し、2025年までに再生設備を全国数カ所に増やす予定。

PETボトルの再生は、世界の飲料メーカーの課題でもあり、ザ コカ・コーラカンパニー(米国本社)は、2030年までに容器原料の50%をリサイクル材にする目標を打ち出しています。

また2019年に入り、アサヒグループホールディングスやキリンホールディングスも、自社の取組目標を打ち出すなど、各社の取組が急速に活発化しています。

「海洋ごみゼロ世界の実現」及び、「持続可能な社会の実現」に向けて、メーカー・行政・NPOなど関連団体、そして生活者のリサイクルへの意識変革が求められています。

※:PETボトルの原料は、石油からつくられるポリエチレンテレフタレートと呼ばれる樹脂。
英語でPOLY ETHYLENE TEREPHTHALATEと書くため、その頭文字をとって「PET(ペット)」と呼んでいる。
このポリエチレンテレフタレートは、石油からつくられるテレフタル酸とエチレングリコールを原料にして、高温・高真空下で化学反応させてつくられる樹脂のひとつ。
この樹脂を溶かして糸にしたものが繊維、フィルムにしたものが食品包装フィルム、ふくらませたものがPETボトルである。