2008.07.09
心のこもった学校給食で元気いっぱい、友情いっぱい!
世界的な食糧・原油価格の高騰がエスカレートする中、7日から開催された北海道サミットへの期待が高まる一方ですが、この度の「食糧危機」に関しては、70年代危機にはなかった重大な負の要因(途上国の需要拡大、バイオ燃料推進、食品・燃料への投機マネー介入、地球温暖化による自然破壊など)が多く潜在しており、世界規模での冷静な判断と対応が希求されています。 いよいよ深刻な事態を真摯に受け止めて、対応する時がきたといえるでしょう。
そんな中、当見聞録では学校給食の成果を実感する催しに参加する機会があり、その明るい体験レポートを紹介して、個人レベル、一団体レベルであっても、実直に取組むことの意義と成果を考えたいと思います。
先月6月中旬、東京都杉並区立桃井第四小学校(全校18クラス、生徒数600名強)で財団法人学校給食研究改善協会主催の「学校給食を見学・試食する会」が催されました。 参加者は普段、学校給食現場とは縁のない民間企業の経営者や食育担当者など計20名で、当日は実際に学校給食を試食した後、全クラスを給食時間中に見学、午後からは食育授業「カルシウムを知ろう!」も見学しました。
【ももし(桃四)スマイルブックより】
桃井第四小学校の教育目標は、まず徹底して子ども達に社会で生きる為の人間としての基本的な思い遣りやマナー、生きる力を身につけることが挙げられており、その一環として学校給食に対する取組が非常に熱心な評価の高いモデル校としても、有名であります。(平成1年学校給食 優良校都表彰・学校給食優良校文部大臣表彰、同2年ランチルーム完成)校門でボランティアの保護者に迎えられて、いきいき、のびのび、元気いっぱいの桃井 第四小学校クラス訪問体験記は以下の通りです。
【野崎佳子校長先生】
元気で明るく、やさしい子ども達
- 見学者(外国人民間企業経営者2名、日本人経営者等18名、計20名)が各教室に入った途端全員笑顔で「こんにちは! Hello!Nice to see you!」などと大きな声であいさつの歓迎。
当日のメニュー中華菜飯・花しゅうまい・かきたま汁・ゆかりきゅうり+牛乳
【外国企業からの見学者も熱心に参加】
- 当番は手際よく配膳、みんなで一緒に大きな声で手を合わせて「いただきまーす!」
- アレルギー食児童には周りの友達が進んで特別食を運んで、ケアーする。 (アレルギー疾患児童は、いじめの対象になりがちだが)
- 好き嫌いの多い生徒にも温かく声をかけて、改善に協力・応援している。
- 「おいしい?」にすぐ「おいしい!」が返ってきて、殆ど残食もなく、きれいに食べておかわりの子どももたくさん。
【配膳も手際よく】
【おいしいねー!】
温かく深い愛情を学校から惜しみなく
- 野崎佳子校長先生から見学者へのメッセージ 「どうか子ども達に接する時は気長に、一定期間を掛けて付き合ってほしい。」「当校は保護者とも密に連携して、お互いに協力体制をしっかり敷き、子ども達を見守りながら指導している。」
- 学校から生徒に配布されている「ももし(桃四)スマイルブック」(前述写真)の項目をみても分るように、人として生きていく為の基本的なマナーや思い遣りを自然に、分り易く教育、指導されている。
以上の体験を経て、初めて学校給食授業を見学したという各企業の参加者は、手作りの給食を食べながら一様に、多くの関係者の心をこめた学校給食が、子ども達がのびのびと素直に成長する原動力になっていることを実感されたはずです。
「カルシウムを知ろう」の食育授業でも、乳業会社の専門家の感想は、「今までの経験の中で、一番カルシウムのことが分り易く頭に入ったので驚いた」。 ある企業経営者は「担任の加藤孝子先生と学校栄養士笹原道子先生との絶妙なベテランチームワークが際立って、その経験と信頼関係に裏づけされた授業だから、子ども達が熱心に、愉しく学べていると実感した。」
【みんなでカルシウムの大切なことを考えて知ろう】
【見学者も熱心に受講】
結論として、こころある指導者がこころある取組みをすれば、子ども達にはその愛情が確実に伝わって、こころあるおとなに成長していくということを、実体験できた貴重な半日となりました。
このような取組みが、重なり合って将来の社会(企業)を支えるバランスの取れた人材が育成されて、自身(自社)にも大きく還元されることを経営者が気付かれたなら、この催しの成績は100点満点をいただけるでしょう。