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『第3回 栄養教諭食育研究大会』香川県宇多津町で開催!~エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して~

『エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して』と題し、子供たちのすこやかな成育に重要な役割を担っている栄養教諭の資質向上を目的とした「第3回 栄養教諭食育研究大会」が、以下の内容で開催されました。

本年は香川県宇多津町に会場を移して、新しい企画による有意義で熱心な討議が繰り広げられました。

【大会 パネルディスカッションの様子1】

【大会 パネルディスカッションの様子2】

 1.大会概要

1)主題
『エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して』
2)開催日
令和元年8月24日(土)9:30~16:30
3)開催場所
香川県綾歌郡宇多津町「香川短期大学」
4)講演・発表内容
 (1)講演
「学校給食摂取基準について」
文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課 学校給食調査官 齊藤るみ先生
(2)パネルディスカッション
「美味しい給食作りを目指した調理場の運営」
コーディネーター:女子栄養大学 名誉教授 金田雅代先生
パネラー:袋井市教育委員会 おいしい給食課 主任主査 石塚浩司氏
株式会社AIHO 営業本部 部長 熊谷文伸氏
東京サラヤ株式会社 公衆衛生部 課長 岡村泰史氏
中部電力株式会社 販売カンパニー法人営業部 課長 澤田政志氏
三和厨理工業株式会社 営業部 課長 根岸傑氏
(3)研究発表
福島県「東日本大震災が福島県の学校給食の地場産物活用に及ぼした影響についての検討」
富山県「児童における朝食摂取状況とその環境要因
-赤黄緑の三色食品群の組合せから見た朝食内容の比較-」
岐阜県高山市「小中学校教職員の食育の意識と栄養教諭との連携」
岐阜県瑞浪市「学校給食の献立における地場産物使用と行政施策との関わり」
滋賀県「真空冷却機の導入による献立内容の変化」
島根県「島根県の栄養教諭と学校栄養職員の職務の実態」
広島県「学校給食の献立内容による残食率の差とその要因」
香川県「学校給食の野菜量と家庭での野菜摂取行動の関連について」
鹿児島県「学校における教職員の食育に関する意識と指導の実態について」
(4)ポスター発表
・「米粉の粒子径による品質への影響」
・「献立計画をもとにした食育教材に関する一考察」
・「料理を作る人と食べる人、双方の和食に対する興味関心について
-クックパッド株式会社食べみるサービスのデータから-」
・「学校給食実施基準の一部改正による食塩相当量と残菜の変化について」
・「袋井市の学校給食における食物アレルギー対応について」
・「岐阜県学校給食会の学校給食の地場産物使用に果たす役割」

2.大会に参加して

香川県で行われた第3回大会は、新しい企画としての栄養教諭と企業の協力による取組や、各都道府県で蓄積されたデータに基づいた研究発表等、大会開催回数を重ねた今回は以下の通り、さらに充実した内容の大会となりました。

1)文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課 齊藤るみ学校給食調査官の基調講演
・平成30年7月31日に告示された学校給食摂取基準の基準値設定において、栄養摂取の不足または摂取過剰が考えられる栄養素については、基準値設定に必要な配慮を行った。
・ただし食塩の摂取抑制など、学校給食における対応のみでは限界のある栄養素もあるため、児童生徒への食に関する指導のみならず、家庭への情報発信を行うことにより、児童生徒の食生活全体の改善を促すことも必要である。
・また栄養教諭は、児童生徒の心身の健全な成長、および生涯を通じた健康のために、学校給食摂取基準に基づき、適切な栄養管理と食に関する指導を行うことが期待される。

2)パネルディスカッション「美味しい給食作りを目指した調理場の運営」
5年の歳月をかけて立ち上げた袋井市立中部学校給食センターの基本構想から運営までの経緯と、取組などが紹介されました。計画段階から、専門家である栄養教諭の意見を取り入れながら、企業と一体となって何度も検討を重ねて完成に至った様子がよくわかりました。
昨年の第2回大会で饗場直美教授が「栄養教諭、企業が一体となり行政の力を借りて、食育を進めていく必要がある」と話されていましたが、その実例として、色々な意味で非常に意義のある貴重な発表でした。

3)研究発表 論文 口頭発表
各都道府県の研究発表では過去10年のデータを基に分析された、多岐にわたるテーマの発表やディスカッションが行われました。

4)ポスター発表
それぞれの主題による発表に対して、多くの聴衆が集まり、意見交換が行われていました。

5)講評 神奈川工科大学 饗場直美教授より
「現在、教育現場に求められていることは、エビデンスに基づいた教育を実施することである。」

最後に、女子栄養大学 金田名誉教授より「蓄積されたデータを科学的根拠に基づき統計解析された意見は、長年の経験だけでは説得力にならないことを実感させるものだった。」とのお話しがありました。

大会に参加して、改めて栄養教諭のデータに基づいた研究・発表が、説得力をもって教職員との連携、学校における食育推進、学校給食の向上につながり、更には子供たちの健康につながっていくことを実感しました。熱心に発表される内容を聴講して幅の広い多くのことを学習し、たいへん貴重な体験をさせて頂きました。

上田 知佳 記

※関連記事
2018年8月24日付 SN見聞録
「第2回 栄養教諭食育研究大会』岐阜県多治見市で開催!
~エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して~」
https://www.snfoods.co.jp/knowledge/column/detail/13021

2017年8月28日付 SN見聞録
「第1回 栄養教諭食育研究大会」岐阜県多治見市で開催!
 ~エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して~」
https://www.snfoods.co.jp/knowledge/column/detail/12969