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「第5回 栄養教諭食育研究大会」岐阜県・オンライン配信の同時開催! ~エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して~

「エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して」と題し、子ども達への食育の取組の成果を体系的・継続的に推進していくために「第5回 栄養教諭食育研究大会」が、以下の内容で開催されました。

本年は岐阜県多治見市の会場と、同時にオンライン配信により開催されました。

1.大会概要

1)主題
「エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して」
2)開催日
令和3年10月10日(日)9:00~16:30
3)開催場所
岐阜県多治見市とうしんまなびの丘“エール”
4)講演・発表内容
 (1)特別講演①
「コロナ禍だからこそ大切なアレルギー対策」
昭和大学医学部小児科学講座 教授 今井孝成氏
(2) 特別講演②
「新型コロナウイルス感染症蔓延下における食中毒と最近の学校給食による食中毒の動向および対策」
 一般財団法人 東京顕微鏡院 名誉所長 伊藤武氏
(3)論文
福島県「栄養教諭と学校栄養職員の食育への関わり方と食育指導計画策定の現状」
富山県「栄養教諭と学校栄養職員等の職務の違いと現状」
福井県「小学生における朝食摂取状況と『共食』の関係」
岐阜県「岐阜県産食材を使用した地産地消物資活用の実態」
滋賀県「学校給食における副菜の食塩相当量を減らす工夫」
島根県「小・中学生の給食における副菜摂取の意識と朝食の関連」
広島県「児童の食生活の変容に向けた学校における食育の取組の効果を探る」
香川県「小学校における学校給食献立の食塩量の実態」
鹿児島県「給食の時間に行う噛むことの指導による指導者(学級担任)自身の意識と行動の変容」
(4)事例研究
静岡県「大規模調理場における機器の適正利用による節電・省エネ対策」
(5)資料
「栄養教諭・食育のための『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』の活用のポイント」
 学校法人 食糧学院東京栄養食糧専門学校 渡邊智子氏

2.大会に参加して 

2年ぶりに開催された第5回大会は、催された会場と同時にオンライン配信もあり全国各地からの参加と発表がありました。コロナ禍における新しい形式による大会開催はオンラインならではのメリットもたくさんあり、レベルの高い発表と共に、さらに充実した内容の大会となりました。

今井 孝成教授の特別講演「コロナ禍の中だからこそ大切なアレルギー対策」では、
①アレルギーをもつ子ども達でも変わらない学校園生活(給食)
②安全・安心な給食 
③事故に迅速・正確に行動 する
という基本方針等の説明や、食物アレルギーの移行期医療支援(自らの疾患を受け止めて、受け入れて、理解して、大人になることをサポートすること)として学童期から思春期における自律(自立)支援の重要性が述べられました。

食物アレルギーをもつ子ども達への「食に関する指導」という、栄養教諭・学校栄養職員が担う重要な役割に対する期待が、更に大きく、大切であることを実感する意義深い講演でした。

伊藤 武名誉所長の特別講演「新型コロナウイルス感染症蔓延化における食中毒と最近の学校給食による食中毒の動向および対策」では、食中毒の発生動向と学校給食における病因物質の実証データとともに、食中毒防止策として2021年6月に改正されたHACCPの重要性にも繋がるお話があり、学校給食用商品等を提供する立場としても、一層身の引き締まる内容でした。 

午後からの9県による研究発表は、学校給食・食の指導などについての多岐にわたるテーマの論文発表が行われました。多くのアンケートなどの実施結果によるエビデンスに基づいた考察や結論・結果が導かれており、たいへん充実した研究発表となっておりました。

神奈川県工科大学 饗場 直美教授からは「1回目の研究大会から比べると、バラエティに富んだ発表となり、研究発表の内容が大きく変わってきている」とお話があり、研究テーマごとに講評もありました。

多くのすばらしい研究発表を聴講し、さまざまに変化する社会情勢の中、日常業務と並行させながら、レベルの高い研究・発表に熱い志をもって取り組まれた栄養教諭・学校栄養職員の方々に対して、改めて敬服してやみません。長期間の調査やアンケート・研究を積み重ねてこられた結果をさらに掘り下げ、意義あるエビデンスとして活用されたこの度の研究の確かな成果に対して、私達は食育や学校給食を通して、子ども達のすこやかな成長に繋がっていくことを改めて実感しています。受講させて頂き、ありがとうございました。

栄養教諭食育研究会ホームページアドレス
https://eiyokyoyu.jp/

山本晶子・岩倉綾子 記