2024.08.09
「第1回全国学校給食・栄養教諭等研究協議大会」長野県で開催!
2024年(令和6年)8月1日・2日の両日、「第1回全国学校給食・栄養教諭等研究協議大会」が長野県長野市で開催されました。
栄養教諭・学校栄養職員を中心に全国から学校給食関係者が参加し、2日間に亘って、全体会・分科会が以下の内容で行われました。
1.大会概要
1)趣旨
学校における食育を推進する上で重要な役割を担う学校給食の在り方について研究協議を行い、学校給食関係者の資質の向上を図る。併せて、学校における食育の推進に向けて、児童生徒に対する食に関する指導のあり方や学校給食の充実方策について研究協議し、栄養教諭・学校栄養職員の資質の向上を図る。
2)主題
より一層の学校給食の充実と栄養教諭を中核として学校における食育の推進
~信州から「新」発信! 未来へつなげる食育の力!~
3)主催
文部科学省、長野県教育委員会、長野市教育委員会、公益社団法人全国学校栄養士協議会、一般社団法人全国学校給食推進連合会、公益財団法人長野県学校給食会
4)開催日
2024年(令和6年)8月1日(木)・2日(金)
5)開催地
長野県長野市(対面開催)
6)会場
1日目(全体会・展示)
ホクト文化ホール 大ホール
2日目(分科会・展示)
ホクト文化ホール
JA長野県ビル
長野市生涯学習センター(トイーゴ)
2.全体会概要
1)開催日
2024年(令和6年)8月1日(木)
2)開会式
3)「文部科学大臣表彰」表彰式・受賞者記念撮影
4)文部科学省・文化庁説明
文部科学省 演題:「学校における食育の推進と栄養教諭の役割」
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 課長 郷家 康徳
文化庁 演題「食文化継承に向けた取組」
文化庁参事官(生活文化連携担当)付 参事官補佐 阿部 哲理
5)記念講演
演題:「食事を愉しむ」
講師:ノルディック複合選手 渡部 暁斗
(2014年ソチ、2018年平昌オリンピック2大会連続個人ノーマルヒル銀メダリスト)
6)シンポジウム
主題:「組織で取り組む学校における食育推進の在り方」
~全教職員が食育の必要性を理解し、子供に必要な食育を行うために~
コーディネーター:
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
学校給食調査官 齊藤 るみ
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
食育調査官 山上 望
シンポジスト:
香川県綾川町立陶小学校 教頭 赤松 美雪
長野県伊那市立伊那西小学校 教諭 寺川 耕平
愛知県豊田市立豊田特別支援学校 栄養教諭 重田 玲子
令和3年度長野県PTA連合会副会長 保護者代表 松田 愛絵
3.分科会概要
1)開催日
2024年(令和6年)8月2日(金)
2)各分科会と研究主題
(1)単独調理場
研究主題
単独調理場における学校給食を活用した食育の推進」
(2)共同調理場
研究主題
「共同調理場から受配する学校における食育の推進」
(3)特別支援学校
研究主題
「特別支援学校における学校給食を活用した食育の推進」
(4)個別的な相談指導
研究主題
「組織的に取り組む個別的な相談指導の在り方」
(5)食育推進体制
研究主題
「社会的な課題に対応した学校給食と食育の推進の在り方」
(6)食育の評価
研究主題
「食育を推進するための校内組織の在り方と食に関する指導の全体計画に基づいた実践の必要性」
(7)栄養管理
研究主題
「学校給食の栄養管理と生きた教材となる献立作成の在り方」
(8)衛生管理
研究主題
「学校給食の危機管理と衛生管理の在り方」
4.大会に参加して
本年2024年度(令和6年度)より「全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会」と「全国学校給食研究協議大会」が統合され、名称も「第1回全国学校給食・栄養教諭等研究協議大会」となり、長野県長野市で開催されました。全体会、分科会(第7)の2日に亘って参加・受講いたしましたので、その内容を以下の通りご報告します。
【文部科学省説明】
「学校における食育の推進と栄養教諭の役割」と題し、文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課 郷家 康徳課長から各地域において栄養教諭の任用・配置が進んでいるが、地域間においてその状況に差異がみられることなどの報告がありました。
また、多様化する現代的健康課題(偏食や肥満・痩身、食物アレルギーなど)を抱える児童生徒への対応は、個別に寄り添った適切な対応がより求められるため、栄養教諭の配置促進は極めて重要との説明がありました。
【シンポジウム】
「組織で取り組む学校における食育推進の在り方~全教職員が食育の必要性を理解し、子供に必要な食育を行うために~」と題し、コーディネーターの文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 齊藤 るみ学校給食調査官が「もし栄養教諭が教科・単元をもてたら」との投げかけに対し、シンポジストの教頭・教諭・栄養教諭・保護者代表の立場からそれぞれ発言がありました。
栄養教諭が全体計画に基づいた教科・単元をもつことで、全教職員と連携して子ども達のみとり(評価)をすることができ、栄養教諭の専門性を活かした活躍の道が広がること、一方で栄養教諭の食に関する指導に重点をおくため、本来の職務に集中できるような業務内容の整備が必要との発言もあり、「基本的な労務環境の改善についての示唆」との印象を受けました。
【第7分科会 学校給食の栄養管理と生きた教材となる献立作成の在り方】
1)長野県大町市立大町北小学校 発表事例
主題:個人の実態に即した適正なごはん量の提供と成長期に必要な適正量を摂取するための指導
2)大阪府吹田市教育委員会学校教育部保険給食室 発表事例
主題:塩を軽く使って美味しさを引き出す減塩(かるしお®)の手法を学校給食へ導入し、子どもの適切な食塩摂取に向けた食育
3)長崎県五島市三井楽中学校 発表事例
主題:地場産物の活用や調理体験の充実など、生徒が生きる力を身につけるための食育や朝食内容の充実させるため、弁当の日等で家庭と連携
1)2)3)の発表から、栄養教諭・管理栄養士が中心となって学級担任・養護教諭・調理員と連携して学校全体で取り組み、子ども達の実態に合わせた主題設定をすることで、適正なごはん量や減塩を日常生活の中でも習慣化できる、また学校だけでなく家庭の調理経験も増えることで、子ども達の自立や健全な食生活につながるという、すばらしい取組について学習することができました。
このような現場における取組が、日々の食育の実体験による積み重ねとして、将来を担う子ども達の成長に確実につながっていることを実感しました。
小原 扶美子 記