2014.08.26
『第55回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会』福井県で開催!
福井県で「第55回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会」が栄養教諭・学校栄養職員を中心に、全国から学校給食関係者が参加し、2日間にわたり、『栄養教諭を中核とした学校における食育の推進』~食育のふるさと ふくいから発信!~を主題として、研究討議が以下の内容で行われました。
【大会お弁当1日目「ふくいのいっちょらい弁当」】
【大会お弁当2日目「ふくいのうまいざぁ弁当」】
1.大会概要
- 主題
『栄養教諭を中核とした学校における食育の推進』
~食育のふるさと ふくいから発信!~ - 趣旨
学校における食育の推進に向けて、児童生徒に対する食に関する指導のあり方や学校給食の充実方策について研究協議し、栄養教諭・学校栄養職員の資質の向上を図る。 - 開催日
平成26年7月31日(木)・8月1日(金) - 開催場所
全体会・展示 福井市フェニックスプラザ
分科会 福井市フェニックスプラザ・アオッサ・福井県国際交流会館 - 主催
文部科学省、福井県教育委員会、福井市教育委員会、公益社団法人全国学校栄養士協議会、公益財団法人福井県学校給食会 - 協賛
全国学校給食会連合会
2.全大会概要
- 文部科学省説明
「学校における食育の推進と栄養教諭の役割」
文部科学省スポーツ・青少年局長/久保 公人
(1)周知から徹底へ 朝食欠食率ゼロ、地場産物30%以上、国産食材ウェイト80%
(2)栄養教諭の数5,021名、免許更新制度30時間
(3)食の在り方に関する有識者会議:スーパー食育スクール、食育の教科書作成
(4)アレルギー問題:学校現場で対応しやすい資料作成中、20年作成のガイドラインを簡素化した資料作成、DVD作成、研修会の充実、フォローアップ点検の実施 - 記念講演
演題:「福井県の恐竜時代」
講師:福井県立恐竜博物館 特別館長
福井県立大学恐竜学研究所 教授/東 洋一 - 実践発表
主題:「おいしい給食から広がる 元気っ子ふくいの食育」
発表者:福井県福井市社南小学校 栄養教諭/高柳 厚子
福井県勝山市立成器南小学校 栄養教諭/村田 佳織 - シンポジウム
主題:「今後の学校における食育の在り方」
コーディネーター:文部科学省スポーツ・青少年局 食育調査官/濱田 有希
シンポジスト:
21世紀構想研究会 理事長/馬場 錬成
武庫川女子大学文学部教育学科 専任講師/藤本 勇二
仁愛大学 名誉教授/谷 洋子
福井県鯖江市河和田小学校 栄養教諭/宮澤 美智子
3.分科会
- 開催日
平成25年8月1日(金) - 各分科会と研究主題
(1)(2)食に関する指導(単独校、共同調理場)
研究主題
「学校における食育を推進するための食に関する指導はどのようにしたらよいか」
(3)(4)個別指導(食物アレルギー、肥満、痩身傾向、スポーツ)
研究主題
「児童生徒や保護者に対する個別的な相談指導はどのようにしたらよいか」
(5)特別支援学校
研究主題
「障害を有する児童生徒の食に関する指導や個別的な相談指導はどのようにしたらよいか」
(6)学校と家庭・地域の連携推進
研究主題
「学校と家庭・地域との連携を深め、学校における食育を推進するためにはどのようにしたらよいか」
(7)栄養管理
研究主題
「児童生徒の体格及び活動レベルならびに地域の実情等に配慮した栄養管理を行うためにはどのようにしたらよいか」
(8)衛生管理
研究主題
「学校給食の衛生管理を徹底するためにはどのようにしたらよいか」
4.大会参加者のまとめ
「食育」という言葉を初めて使った石塚左玄を生んだ土地、福井県にて全国から集まった先生方により真剣な討議が繰り広げられました。栄養教諭、学校栄養職員が一人で頑張るのではなく、学内の先生方との連携、保護者や生産者、地域住民・企業、大学等の様々な職種の方との連携を考えた活動から食育の充実を図る必要がある、ということを繰り返し述べておられました。
シンポジウムでは「今後の学校における食育のありかた」について研究発表が繰り広げられ、当面の具体的な取組として「スーパー食育スクール事業」が挙げられており、その取組内容をご紹介します。
【スーパー食育スクール事業とは】
栄養教諭の配置は、都道府県によって差があり、食育の指導体制に地域で差が出てきている。
また、これまでの学校において、様々な形で食育の実践が行われ、食育についての周知が進んできているが、成果についての検証は必ずしも十分ではないという指摘もある。
そのため、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」の「最終報告」(平成25年12月)において、平成26年度より、食を架け橋とした地域と学校の活動が進むよう、「食とスポーツ」、「食と健康」、「食と学力」、「食と環境」などテーマを明確にして重点的に食育を取組むモデル校「スーパー食育スクール」を全国で指定し事業を行う取組が開始された。
大学や企業、生産者、関係機関等と連携し、食育を通じた学力向上、健康増進、地産地消の推進、食文化の理解など食育の多角的効果について科学的データに基づき検証を実施。その取組成果を数値化して「見える化」を図り、国民へ広報を行うことで食育のより一層の充実を図り、国民運動としての食育の推進に寄与する。
【シンポジウムより:鯖江市河和田小学校での取組】
「スーパー食育スクール事業」を踏まえ、鯖江市河和田小学校では、「朝食摂取率向上と内容改善」「越前漆器を取り入れた郷土料理の認知度向上」に取組んでいる。
和食や日本文化の良さを伝え、栄養バランスを学び、たくましい体の育成、地元への誇り、家族とのコミュニケーションから、豊かな心の育成と、心身ともに力をはぐくみ体力と学力、豊かな人間力向上を目指している。
そして、地元の大学と連携し、大学がもつノウハウを生かし、今後更に、下記4項目の研究取組を実施。
1)大学の協力を得て、調査方法や設問項目の検討及び評価方法等の指導・助言
2)科学的データに基づく食と生活習慣、体力・学力調査との関連性を効果検証
3)エビデンスを示すことで、学校における食育の在り方の有効性や方向性を明確化
4)食と生活習慣等の多面的な分析結果から食生活改善に向けた情報発信
目標として、様々な職種の方と組織的に連携することで、食育の可能性を再検討し、更なる充実を図ることを掲げている。
2日目(8月1日)の分科会では、8テーマに分かれて研究討議が行われました。そのうちの第1分科会「食に関する指導(単独校)」ではシンポジウムのテーマと同じく周囲との連携について協議されました。
子どもの実態に合わせて指導するため、地域や社会との連携(病院や保健所にいる栄養士等)や、学校内での連携(担任教師や教科担任等)について意見交換が重ねられました。外部講師を活用することで、食材の深い知識享受に繋げることや、教科担任との連携にて教科に踏み込んだ食育を行うコツ、経験豊かな先生方からの助言など、各県の栄養教諭・学校栄養職員が学校に戻り、すぐに指導に活かせるような協議内容でした。
本大会に参加し、「食育」を推進するためには「人と人との関わり」を大切にして様々な連携を深く広く繋げていくことが重要であると実感しました。
今後はいろいろな分野の方々や・団体がお互いに連携して、スーパー食育スクール事業の成果検証が実施されることで、①学校給食の充実や食文化への理解、②食に対する感謝の心、③学校が地域の核・架け橋となって地域の特性を活かした食育などが社会全体に普及し認識されていくことを期待しています。