2018.06.19
日本の学校給食が思春期の肥満を減らすことを示唆 東京大学
この度、東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学の研究グループが、適切な栄養基準に基づいた学校給食の提供が、日本人の思春期の肥満率を減らしている理由のひとつであることを明らかにし、この研究結果が英国の「Journal of Public Health」オンライン版で発表されました。
日本は他の先進国と比べると、実際に13~15歳の思春期の中学生の肥満率が低い。その理由のひとつとして、中学校での給食の実施が過去10年間に拡大した事が影響しているのではないかと考えられる。
日本の学校給食は、適切な栄養基準をもとに作り、同じ給食を生徒全員が食べる。そのため「給食の提供」が、低い肥満率の理由とひとつとして挙げられていたが、これまでそれを支持する研究はなかった。
今回、同研究グループは、政府統計の公開データより、①2006~2015年の都道府県レベルの給食実施率、②都道府県の栄養状態の指標(過体重※1・肥満※2・やせの生徒の割合、平均身長、平均体重)を、性・年齢別に抽出した。栄養状態の指標と、給食実施率の因果関係を調べるために、前年の給食実施率と翌年の栄養状態の指標の関連を調べた。
その結果、各都道府県で給食の実施率が10%増加すると、翌年の過体重の男子の割合は0.37%、肥満の男子の割合は0.23%低下していたことが分かった。女子については、統計学的に有意な結果ではなかったものの、過体重・肥満を減らす傾向が見られた。
※1過体重:性・年齢・身長によって定められた基準体重を20%以上、上回る者
※2肥 満:性・年齢・身長によって定められた基準体重を30%以上、上回る者
本研究結果より、学校給食摂取基準に基づく給食が13~15歳の思春期の肥満を減らす有効な施策のひとつであることが示されました。
給食が実際に、過体重・肥満を減らすという効果のあることが実証されたのは、本研究が初めてとなります。