2020.07.14
コロナ対策「簡易給食」 量が少ない・あまりに質素 保護者から疑問
新型コロナウイルス感染リスクが高いとされる給食の配膳でのリスクを減らすため、学校再開後に多くの自治体で、配膳を伴わない「簡易給食」が提供されていますが、一部の保護者から「簡易給食」に対し「栄養バランスが悪い」「量が少ない」「帰宅後の間食が増えた」といった疑問の声があがっています。
文部科学省 令和2年5月22日付公表の『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~』の「第3章 具体的な活動場面ごとの感染症予防対策について」「3.給食」の、感染レベル1~3地域における具体的な対応で、レベル3地域で、品数の少ない献立(例えば、主菜と具沢山の汁物等)を提供することや、給食調理場において弁当容器等に盛り付けて提供することなどの工夫が困難な場合には、少なくとも配膳を伴わない簡易な給食(パン、牛乳等)を提供する対応も考えられると記載されている。
千葉県佐倉市は、栄養教諭らがメニューを考案し、全34小中学校が校内施設で調理する「自校調理」により、地元で採れた食材を取り入れ、郷土ゆかりの人物の給食など、作り立ての給食提供に力を入れてきた。しかし、コロナ感染防止対策のため、調理を伴わない個別に包装された「簡易給食」を8月末まで提供することとなった。市教育委員会は、「本来8月は学校給食がなく、エアコンを備えていない施設では食中毒への恐れもあるため、状況をみて献立を考えたい」と頭を悩ます。
京都府亀岡市は、市内18小学校の約5200食分を市立学校給食センターで調理し、配送している。長期休業から再開した6月8日から6月26日までの3週間にわたり、コロナ感染防止対策のため、給食の品数を大幅に減らし提供した。献立は、混ぜご飯や肉じゃが、キムチ鍋など1品と牛乳の提供だった。6月29日からは、通常給食が開始され、給食センター所長は、「今後、デザートを増やし、メニューを工夫するなど子ども達に還元したい」とする。
兵庫県西宮市は、通常は、62カ所の「自校調理」により、約4万500食を提供している。市教育委員会は臨時休業による学習の遅れを取り戻すため、小学校などの夏休みを8月1日~16日に短縮し、従来は夏休み期間の7月21日~31日と8月17日~31日の平日合計18日間、午前中に授業を予定し、小学校と義務教育学校前期課程の計41校の希望者に、パンと牛乳、ヨーグルトやゼリー、ジャム等を添える「簡易給食」を提供するとしていた。
しかし、市議会が栄養面の改善を求めて全会一致で可決した決議などを受け、市教育委員会は7月13日改善策を発表した。8月の給食提供の11日間は毎回主菜としてウインナー2本を加え、デザートの予定がなかった3日間については、主菜の他にミカン等の冷凍果物も追加で提供することを決め、文部科学省が示す「学校給食摂取基準」小学校中学年の1食当たり650キロカロリーに対し、8月の11日間は平均で645キロカロリーと改善された。一方、7月の7日間の給食献立は変わらず、エネルギーやたんぱく質・一部のビタミン類は「学校給食摂取基準」の値に達していない。市教育委員会は、「全62カ所の調理場のうち、エアコンが17カ所にしかなく、食中毒の危険や、調理員が熱中症になる恐れがあり、温かい料理を提供することもできず、給食を楽しみにする子ども達を、十分に満足させてあげられず申し訳ない」としている。
成長期の子ども達の栄養面において、学校給食の果たす役割はとても大きく、新型コロナウイルス感染拡大の第2波も懸念される中、感染リスクに配慮しながら、様々な工夫が施され、栄養バランスの良い学校給食が提供されることを願います。