株式会社 ＳＮ食品研究所

国立成育医療研究センター アレルギーセンターの大矢幸弘氏、山本貴和子氏、研究所の斎藤博久氏らの研究グループは、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対して早期に治療を行う臨床研究（※）を実施しました。

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに、早期から炎症を抑える薬を湿疹部位以外にも塗る治療を行うと、鶏卵アレルギーの発症を25％削減できるとする臨床試験の結果を、アレルギー分野の最高峰雑誌「Journal of Allergy and Clinical Immunology」で発表しました。

研究グループは、国内の16の医療機関で生後7週から13週のアトピー性皮膚炎の赤ちゃん650人を対象に、炎症を抑えるステロイド剤を、①湿疹がある部位だけに塗る②全身に塗るかで、グループ別に①②と薬を塗り分け、生後7か月の時点で鶏卵アレルギーの出る割合に違いが出るか調べた。

その結果、鶏卵アレルギーを発症したのは、湿疹がある部位だけ薬を塗った赤ちゃんでは41.9％だったのに対し、決められた日程で1日に2回全身に薬を塗った赤ちゃんでは31.4％で、湿疹部位以外にも薬を塗った②のグループのアレルギー発症率は、➀に比べて4分の3ほどに減った。

この研究により、食物アレルギーの発症リスクが高い、乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対する早期の積極的治療が食物アレルギーの発症を予防することを世界で初めて実証しました。

また、アトピー性皮膚炎は食物アレルギーとの関連性が高く、食物アレルギー予防のためには乳児期の発症早期からしっかり湿疹を治療し、経皮感作のリスクを低下させることが重要であることが明らかにしました。

詳細は、下記国立成育医療研究センターアドレスより確認することができます。
https://www.ncchd.go.jp/press/2023/0410.html

※：「アトピー性皮膚炎への早期介入による食物アレルギー発症予防研究/多施設共同評価者盲検ランダム化介入平行群間比較試験：PACI(パッチ―) Study(スタディ)」