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和歌山市「和食とあわない」学校給食に牛乳不要論 コスト高も議論の背景

和歌山市や和歌山市教育員委員会が8月に開いた「市総合教育会議」で、学校給食の「牛乳」をめぐる議論が行われています。

和歌山市教育委員から「高騰する乳製品によって給食費に影響が出ている」「和食の給食時に、牛乳が残されることが多いのでは」などの意見から、「学校給食時の牛乳の提供回数を減らしては?」との提案があった。

和歌山市は食材費の値上げを受け、令和4年度2学期から公費で1人1食20円を給食費に上乗せしており、令和5年度2学期からは、牛乳の高騰を受けて、この公費支援を1人1食30円に拡大した。

現在の牛乳の価格は1パック70円で、自校調理の場合1人当たり給食費282円、共同調理の場合1人当たり275円の約25%を占めている。

かつて新潟県三条市では、牛乳提供が一時休止された例もある。「米飯との相性がよくなく、和食の文化を壊す」として、平成26年12月~平成27年3月、試行的に牛乳の提供を休止した。しかし、栄養価が高いことを考慮して同年4月には提供を再開し、同年8月には給食後に牛乳を飲む「ドリンクタイム」を導入。令和3年4月にはドリンクタイムも廃止し、給食時に以前のように牛乳が飲まれるようになっている。

そもそも学校給食での牛乳の提供には、法的な根拠があり、昭和29年施行の学校給食法で「給食内容は、パン(これに準ずる小麦粉食品等を含む)、牛乳およびおかずとする」などと定められている。

学校給食における牛乳摂取については、成長期に必要な食品として、カルシウムだけではなくタンパク質を摂取する上でも大切な役割がある。カルシウムは家庭の食事で不足しているとし、文部科学省の学校給食実施基準において、学校給食ではカルシウムを1日当たり約50%以上摂取するように基準値として定めらており、和歌山市教育委員会も「給食での牛乳の提供をやめた場合、他の食材で(カルシウムの補給量を)補うことは難しい」とも主張している。

今後とも食文化である「和食」の推進にあたっては、牛乳・乳製品と相対させるのではなく、「学校給食を通じての食育は子供たちのすこやかなこころと身体の成長のためにある」という最もたいせつな原点から、ぶれることのないように進めて頂きたいと考えます。

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2014年9月2日付 SN見聞録
「なぜ、学校給食でほぼ毎日牛乳が出されるのか、正しい理由をご存じですか?」
https://www.snfoods.co.jp/knowledge/column/detail/10215