2009.08.31
『第50回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会』 節目の大会が北海道札幌市で開催!
爽やかな青空とあふれる緑と花がいっぱいの札幌市で、節目となる「第50回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会」が栄養教諭・学校栄養職員を中心に学校給食関係者1,100余名が参加し、2日間に亘り、『栄養教諭を中核とした学校における食育の推進』〜食育の未来を描こう北の大地から~を主題として中身の濃い研究討議が以下の内容で行なわれました。
【主題】
『栄養教諭を中核とした学校における食育の推進』
【趣旨】
学校における食育の推進に向けて、児童生徒に対する食に関する指導のあり方や学校給食の充実方策について研究協議し、栄養教諭・学校栄養職員の資質の向上を図る。
【実施期日・開催場所】
平成21年8月6日(木)・8月7日(金)札幌コンベンションセンター
【主催】
文部科学省 北海道教育委員会 札幌市教育委員会
社団法人全国学校栄養士協議会 財団法人北海道学校給食会
【協賛】
全国学校給食会連合会
【参加者】
栄養教諭・学校栄養職員および学校給食関係者約1,100名
全体会
【文部科学省説明】
主題「学校教育における食育の中核としての栄養教諭の役割」
【記念講演】
演題「早寝早起き朝ご飯の大切さ」 講演者 東北大学教授 川島隆太
【実践発表】
主題「食育を推進するための栄養教諭の役割について」
【シンポジウム】
主題「栄養教諭制度とその成果について」
分科会(各分科会研究主題及び協議内容)①~⑨
【食に関する指導】
①単独校
②共同調理場
③、④個別指導(食物アレルギー・肥満痩身傾向)
⑤、⑥特別支援学校
⑦学校と家庭・地域の連携推進
【給食管理】
⑧栄養管理
⑨衛生管理
全体会プログラムの中から、川島教授による【記念講演】と【シンポジウム「栄養教諭の配置と食育の成果について」】は、特に意義深い内容で、参加者からも大きな反響がありました。以下、その一端をご紹介いたします。
●記念講演「早寝早起き朝ご飯の大切さ」東北大学 川島隆太教授
創造力、コミュニケーションする力、高ぶった感情を我慢する力などの機能を司る前頭前野と呼ばれる脳の働きと、その活動を支える朝食との関係を、科学的にかつ解りやすく講演されました。
川島隆太研究室による調理における脳活動の計測結果から
【親子クッキング中の子どもの脳活動計測】
白:基準値の脳の状態
赤:基準値より活性化が見られる部位
青:基準値より活性化が低下している部位
脳活動のための望ましい朝ご飯の内容や、朝ご飯を食べることで形成される生活習慣、子どもが料理を手伝うことの効果にもふれ、子どもに生きる力をつけることが教育の目標であり、生きる力とは前頭前野が支えており、そのためにも子ども達に「朝食を自分で作る力を教えてあげて欲しい」と、栄養教諭・学校栄養職員に期待を寄せられました。
※上記、 川島隆太研究室における調理における脳活動の研究は、当SN見聞録2004年10月5日付「世界で初めて確認!!料理で脳は活性化・・・大阪ガス(株)の研究から」よりもご覧いただけます。
午後のシンポジウムの概略は以下の通りです。
●社団法人全国学校栄養士協議会 田中信名誉会長
「栄養教諭制度ができるまでの長く困難な経緯と、その間終始『志』をぶれさせず、一致団結して取組を進めてきた経緯と歴史、そして栄養教諭の役割と心構えについて」
●社団法人日本栄養士会 中村丁次会長
「同制度創設への支援の経緯の中で、家庭科・理科・保健・体育などの先生が教えたのでは何故不十分なのか、栄養教諭として栄養の実務を持つ栄養士が教育を行うから意味がある。栄養教諭・学校栄養職員・日本の栄養士全員がいかに重要な使命を担っているか、またこれを実践するためには枠を超えて結束することが大きな力になる」
●独立行政法人国立青少年教育振興機構 田中壮一郎理事長
「スポーツ・青少年局長時代に栄養教諭制度創設時国会で、制度化の必要性・職務内容・配置目標などが幅広く丁寧に審議され、衆参両院で全会一致可決となった。」
●栄養教諭第1号の高知県 下元智世栄養教諭
「社会全体の食育への関心が高まる中、多くの先輩の努力と関係者の支援で創設された栄養教諭の成果について、食に関する指導の計画を立てて、学校全体を動かすことができるようになり、色々な成果がでている、これは栄養職員時代からは考えられないことであった。」
●北海道教育庁学校教育局学校安全・健康課 和田基興課長
「道内全栄養職員を全員、栄養教諭として配置することを表明し、実施に向けて(総数555名中、326名配置 平成21年4月1日現在)どのような状況の下にどのような取組みをしたか、またその成果や今後の課題など」
●文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 田中延子学校給食調査官
『明治22年、初めて学校給食が提供されてから今年で120年、様々な存続の危機を乗り越えて、私達の先輩や学校給食関係者たちが団結して護り、充実させてきて下さいました。そのたいへんな先人たちの努力と取組みの上に立っている私たちは、記念すべき第50回大会を機に改めて一致団結し、進む道を間違えることなく、次世代につないでいかねばなりません。』