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食物アレルギー対応学校給食 群馬県の取組をご紹介いたします

群馬県内の公立幼稚園や小中高校・特別支援学校の児童生徒の内、2017年度に「食物アレルギーがある」と申告したのは、1万1652人で、全体の5.9%を占めることが、群馬県教育委員会の調査でわかりました。

2012年度の調査開始以来、人員・割合ともに5年連続で増加しており、食物アレルギーの子ども達に配慮した、学校給食のきめ細やかな取組が群馬県内で広がっています。

2012年、東京都調布市の小学校で、学校給食を原因としたアナフィラキシーショックの疑いによって児童が亡くなるという事故が発生しました。

これを受け、群馬県教育委員会は翌2013年に「学校における食物アレルギー対応マニュアル」(※)を作成し、各校は子ども達のアレルギー情報を収集し、個々に合わせたプランを作成した上で、アナフィラキシーなどの緊急時にも対応できる体制づくりを進めています。その取組内容を、以下にご紹介します。

群馬県教育委員会は、各学校から申告があった発症事例を精査し、検証も継続、アレルギーによるトラブル防止に向けた対応をまとめ、市町村教育委員会などに周知している。また、食物アレルギーのトラブルを防ぐために、各学校の管理職向けに、予防法や緊急時の対応などの研修会を実施した。

群馬県の学校内・園内で食物アレルギー対策委員会が設置されているのは、676ケ所(2016年度調べ)に上る。

食物アレルギーを有する子ども達への学校給食における主な対応方法としては、①レベル1:詳細な献立表による情報提供、②レベル2:弁当持参対応、③レベル3:除去食対応(原因食品を除いて提供)、④レベル4:代替食対応(取り除いた食品に代わる食材を補い提供)の4段階がある。原因食品を除いた「代替食」を用意し、栄養面まで気遣う市町村もある中、混入や誤食といった事故を防ぎ、どのように安全を担保するかが課題となっている。

昨年2017年度11月の群馬県教育委員会の調査によると、高崎、桐生、太田、沼田、安中、上野、高山、片品、川場、昭和、みなかみの11市町村が原因食品に代わる食材を調理した「代替食」を作っている。主な4市の取組内容は以下の通りです。

1.高崎市の取組
現在、全小中学校の8割が校内の調理場で給食を作る「自校方式」を採用し、全校に栄養士を配置している。個別に対応しやすい自校方式のメリットを生かし、卵アレルギーの子には他の食材を調理したメニューでタンパク質を補うなど工夫をしている。

2.沼田市の取組
共同調理場で作った給食を配送する「センター方式」を採用しており、調理場の一角にアレルギー食専用スペースを確保している。料理を透明な袋に入れ、校名と名前を書くことで、取り違いがないよう注意している。

3.渋川市の取組
小麦や乳など7大アレルゲン対応の給食を作る共同調理場を整備する方針で2020年の稼働を目指している。

4.伊勢崎市の取組
建設中の調理場にアレルギー専用室を設けることを見送った。担当者は「調理場で注意しても、学校で取り違える恐れがある。命にかかわるので安全を最優先に考えた」と慎重だ。

子ども達個々に合わせたプラン作成の基になるのは、医師の診断によりアレルギー症状などを記した「学校生活管理指導表」です。保護者が学校に提出するもので、群馬県での提出率は、小学校でまだ5割ほどです。

食物アレルギーにおける最悪の事故を防止するために、医師の診断による「学校生活管理指導表」に基づいて、学校と保護者が一体となって連携しながら、その取組を組織的に推進することが重要です。

※群馬県教育委員会「学校における食物アレルギー対応マニュアル」
http://www.pref.gunma.jp/03/x5000049.html