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「第64回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会」鳥取県で開催!

令和5年8月3日・4日の両日、「第64回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会」が鳥取県鳥取市で開催されました。

4年ぶりとなる対面での開催は、栄養教諭・学校栄養職員を中心に全国から学校給食関係者が参加し、2日間にわたり全体会・分科会が以下の内容で行われました。

1.大会概要

1)趣旨
学校における食育の推進に向けて、児童生徒に対する食に関する指導の在り方や学校給食の充実方策について研究協議し、栄養教諭・学校栄養職員の資質の向上を図る。
2)主題
『栄養教諭を中核とした学校における食育の推進』
~食のみやこ鳥取発! 食育で心も体も健やカニ~
3)主催
文部科学省、鳥取県教育委員会、鳥取市教育委員会、
公益社団法人全国学校栄養士協議会、公益財団法人鳥取県学校給食会
4)協賛
一般社団法人全国学校給食推進連合会、鳥取県学校栄養士協議会
5)開催日
令和5年8月3日(木)・4日(金)
6)会場
1日目(全体会・展示)
とりぎん文化会館 梨花ホール
2日目(分科会・展示)
とりぎん文化会館
鳥取市民交流センター
鳥取市文化センター
鳥取県庁
鳥取県立福祉人材センター

2.全体会概要

1)開催日
令和5年8月3日(木)
2)文部科学省説明
文部科学省 演題:「学校における食育の推進と栄養教諭の役割」
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 課長 南野 圭史
3)記念講演
演題:「スポーツと健康」
講師:元バレーボール日本代表 山本 隆弘氏
4)シンポジウム
主題:「栄養教諭を中核とした食育の推進」
~栄養教諭の職務の明確化に向けて~
コーディネーター:文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 学校給食調査官/齊藤 るみ
シンポジスト:神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科部 研究科長/鈴木 志保子
シンポジスト:文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 食育調査官/山上 望
シンポジスト:鳥取市教育委員会事務局学校保健給食課 課長/山根 ちはる
シンポジスト:北栄町立北条小学校 栄養教諭/竹内 聰
シンポジスト:鳥取市立明徳小学校 校長/吉田 幸恵

3.分科会概要

1)開催日
令和5年8月4日(金)
2)各分科会と研究主題
(1)単独調理場
研究主題
「栄養教諭を中核とした単独実施校における食に関する指導の在り方」
(2)共同調理場
研究主題
「栄養教諭を中核とした共同調理場から受配する学校における食に関する指導の在り方」
(3)特別支援学校
研究主題
「栄養教諭の専門性を生かした障害のある児童生徒一人一人に応じた学校給食の提供と食に関する指導の在り方」
(4)個別的な相談指導
研究主題
「栄養教諭の専門性を生かした児童生徒への個別的な相談指導の進め方」
(5)食育推進体制
研究主題
「全教職員による食育推進体制及び家庭や地域、関係団体等と連携した推進体制の構築における栄養教諭の役割」
(6)食育の評価
研究主題
「食に関する指導の全体計画と評価及び栄養教諭の配置効果」
(7)栄養管理
研究主題
「栄養教諭の専門性を生かした栄養管理と生きた教材となる献立作成」
(8)衛生管理
研究主題
「衛生管理責任者としての栄養教諭の役割」

4.大会に参加して

今大会の1日目は全体会、2日目は分科会に参加して受講しました。その内容を以下の通りご報告いたします。両日とも活発な研究討議が繰り広げられました。

【全体会】

文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 南野圭史課長の文部科学省説明では、「令和4年度の公立義務教育諸学校における栄養教諭及び学校栄養職員の配置数に占める栄養教諭の割合」において、各都道府県別にみると島根県は100%に対し、鳥取県は36.5%と格差がみられるという課題が挙げられました。

またシンポジウムでは、鳥取市立第一学校給食センターの栄養教諭より、本務校である鳥取市立明徳小学校では、毎日給食時間に給食の残食や子ども達の様子を確認しているが、兼務校である他14校は学校栄養職員2名と分担しても全校・全学級を直接指導するには9ヵ月かかるとのことで、栄養教諭は兼務校を巡回指導したくてもできない現状説明がありました。

神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科 鈴木志保子研究科長より、栄養教諭の配置効果を高めるためには、「各学校の栄養教諭の専門性を生かした取組と成果を市や県でまとめて発信することで、栄養教諭の配置拡大へとつながる。」とのご提言がありました。

【分科会】

第6分科会:食に関する指導の全体計画と評価及び栄養教諭の配置効果
-協議内容-
①食に関する指導に係る実態把握と目標設定の進め方。
②食に関する指導に係る目標を実現するための食育実践と評価の進め方。
③栄養教諭の配置効果につながる評価の在り方。
上記①~③の協議内容について、下記研究発表では、栄養教諭を中核とした担任や養護教諭、地域、家庭と連携した取組について意見交換がなされました。

1)鳥取県境港市立第二中学校 発表事例
主題:地域・教職員と連携した食育の推進とその評価
~地域の人材・食材を活用した効果的な食育の実践~
発表内容:生徒会とも連携し、生徒主体で実践することで食への興味関心を高め、子ども達に寄り添った体制づくりが構築されていました。

2)山形県鶴岡市立朝暘第六小学校 発表事例
主題:実践しやすい食に関する指導の全体計画の作成と取り組み
~共同調理場勤務の栄養教諭と教職員等が連携して行う持続可能な食育の推進
発表内容:共同調理場勤務では、まず学校の全体計画について、全ての学校職員がすぐ理解できるように、わかりやすい内容に修正したことで、全職員が一体となって取り組む体制が出来上がり、食育の推進につながりました。

3)山口県山口市立仁保小学校 発表事例
主題:食への関心を高め、地域を愛する心豊かでたくましい児童の育成
~学校・家庭・地域と連携した食育の推進とその評価~
発表内容:生徒・保護者・教職員間で、課題と成果を共有し、さらに養護教諭とも連携して、各家庭に対する個別指導へとつなげていきました。

3件の研究発表を受講して、各学校の実態に合わせた取組を、生徒と共に学校全体で実践することで、職員間の連携を深め、継続した指導ができる体制へと発展しており、食育への成果につながっていると感じました。

【本大会に参加して】

市や県の栄養教諭等がお互いに協力し、専門性を生かした学校全体での取組成果を幅広く情報発信し、これを継続して行うことで、栄養教諭の配置拡大の実現・充実につながっていくのではないかと考えました。また、栄養教諭と養護教諭が情報の共有などお互いに連携することで、個々の実態に合わせた食の意識改革が進み、子ども達の健康増進に向けて、大きな成果が得られるのではないかと再認識いたしました。

小原 扶美子 記