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応募の数が過去最高となった第6回全国学校給食甲子園から…~学校給食の取組や役割が広く正しく理解されることを願って~

今秋11月6日(日)、特定非営利活動法人(NPO)21世紀構想研究会主催による第5回全国学校給食甲子園決勝大会が開催されました。応募数は過去最高の2057校、中でも大震災被災の6県からの出場数は2割も増加しており、こちらも過去最高と目される多くの報道関係者の取材参加を得て、大盛況のうちに5日(土)の前夜祭から2日間にわたる決勝大会が終了し、その熱戦の結果は以下の通りとなりました。

【優勝】
中部・近畿ブロック代表 和歌山市立名草(なぐさ)小学校
土井登世(たかよ)学校栄養職員・山中恭子調理員

【準優勝】
中国・四国ブロック代表 高知県大月町立大月中学校
野坂なつこ栄養教諭・安岡千冬調理員

【女子栄養大学特別賞】
中国・四国ブロック代表 香川県観音寺市大野原学校給食センター
真鍋美枝子栄養教諭・合田香代子調理員

【21世紀構想研究会特別賞】
中部・近畿ブロック代表 岐阜県海津市学校給食センター
山崎香代栄養教諭・大倉寿美恵調理員

【決勝出場12チームと審査委員の方々】

決勝戦の参加施設数は12施設、どのチームも最終戦まで残られただけあって、いずれもすばらしい内容と出来ばえでした。前夜祭での全国各選手による純朴で心温まる決意表明につづいて、決勝当日懸命に調理された給食を報道陣が写真撮影や試食をしながら、「おいしい!」とレポートの収録をする様子や、よろこびと涙の入賞者へのインタビューなどなど、回を重ねるごとに熱気を増し、この学校給食甲子園が社会的にも認知されてきたことがよく分ります。

そこで、このたびの第6回全国学校給食甲子園について当編集局は、特に大会最後の金田雅代審査副委員長による審査講評の内容(下記)に着目してレポートいたします。

最終審査講評

  1. 衛生管理
    ①文科省の衛生管理マニュアルを再度見直してほしい。
    ・爪を洗うブラシで手のひらを洗っていた。
    ・半袖を着ているのに肘までしっかり洗っていなかった。
    ・調理中帽子から髪の毛が出ていた

    【審査風景】

    【手洗いチェックから審査スタート】

  2. 調理の審査ポイントについて
    ①調理過程と地場産物の活かし方・仕上がり方
    ・それぞれの持ち味が見事に活かされ、とてもおいしかった。
    ②調理過程において衛生的な調理がおこなわれているか
    ・食材の扱いが悪いために調理終了後、台の下が濡れていた。
    ・みかんがずっと調理台の上に置かれたままだった。
    ・パンが火のそばにずっと置かれたままだった。
    ・栄養所要量については、書類審査段階で選別した。
    ③チームワーク
    ・お互いの掛け声が少ない、「80度になりました」というだけで記録されていなかった。
    ・規定時間内に終了しなかった。

    【リズミカルに野菜を切っていく】

    【自慢の献立をどう盛り付けるかも重要】

以上のような金田審査副委員長の講評の内容は、細目にわたる具体的な審査基準や調理の実態について、例年よりかなり詳しく言及されたもので、栄養バランスのとれた学校給食を、安全・安心でおいしく調理をして提供することの主旨について、強いメッセージが込められていました。

すなわち、この全国学校給食甲子園は通常の調理技術やメニューを競う料理コンテストとは全く異なったものとして、

「子ども達の生きる力を育むための授業である学校給食を調理・提供するにあたっては、安全・安心でしかもおいしく、どのような姿勢で、どのような目的意識をもって取組むのか」

といったことが重要なテーマであり、この学校給食の基本理念を踏まえてあらゆる観点から厳しい審査が行われているということが発信されていました。

【金田雅代審査副委員長が審査の講評】

このように学校給食に課せられた厳しい基準はすべて、大切な子ども達を健やかに育むために当たり前のこととして設定されているものです。上記講評の冒頭で、「学校給食のすばらしさを改めて実感した。」との発言がありましたが、このことばに全ての意味が込められているといえるでしょう。

私どもはあらためて学校給食において、
・食中毒が一般社会に比べてなぜはるかに少ないのか
・食材に対する厳しいチェックや地場産物の使用・伝統食の継承などになぜ熱心に取組まれているのか
といった基本的な学校給食の取組内容とその主旨についての報道が広く、正確に流されて、学校給食に対する正しい認識が社会に浸透していくことを願ってやみません。

そして、「子ども達の心身の健康を護るための学校給食」が社会全体によく理解され、学校給食応援団の輪が拡がり、日本全国に健康な成人が巣立っていけば、大勢の関係者のたいへんな努力が実を結ぶことになる筈です。

 

上記レポートの分りやすい参考資料として、公益財団法人学校給食研究改善協会ホームページより、下記「すこやか情報便」の各号をご参照ください。

「すこやか情報便」
第4号「見えざる敵『食中毒』を撲滅!」
第6号「栄養教諭配置後、行政の支援を受けこんな成果がありました!」
第9号「学校給食における食中毒ゼロをめざした取組と成果」
第11号「おいしい学校給食が安全に提供されてこそ『食に関する指導の教材』となる」

掲載写真につきましては、全国学校給食甲子園ホームページより転載しております。

全国学校給食甲子園ホームページ