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新型コロナウイルス 子供は重症化しにくい 米国など海外研究から

新型コロナウイルスの感染「第2波」が懸念される中、「子どもは新型コロナウイルスに感染しにくく、感染しても重症化はまれ」という、大人に比べて子どもの感染報告が少ない理由が明らかになってきました。

厚生労働省より公表の「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年7月1日18時時点)(※1)によると、日本国内1万8512人陽性者数のうち、10歳未満は1.6%(306人)、10代は2.5%(469人)だった。また、米国では6月27日時点で、0~4歳の患者が陽性者数のうち1%、5~14歳が同3%で、韓国では7月5日時点で、10歳未満が同1.54%、10代が同5.6%で、子どもの感染者率が低いという報告は、国内外で相次いでいる。

子どもが感染しにくい理由として、「小児は、新型コロナウイルスのヒト細胞への侵入経路(受容体)であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)という、たんぱく質の発現が少ない」という説があり、それを裏付ける研究結果が、5月20日付の米国医師会雑誌(JAMA)オンライン版に発表された。

その研究内容は、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学の研究グループが気管支喘息の研究目的で採取・保管していた4~60歳の喘息患者の鼻粘膜上皮を用いて、年齢によるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発現量の違いを分析したところ、「小児ではACE2遺伝子の発現量が成人に比して少なかった」と報告した。発現量は10歳未満が最も少なく、年齢が上がるとともに増加した。

この結果から、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)という、たんぱく質が多いほどコロナウイルスが体内に取り込まれやすく、大人に比べて子どもは新型コロナウイルスに感染しにくい可能性があると、研究グループは結論づけている。

子どもの感染や重症化することが少ないことや、子ども同士での感染拡大の例が少ないことから、専門家からは「感染拡大を防ぐための学校休業措置は、効果が乏しい」といった声もあります。

文部科学省より2020年5月22日付で公表さている『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~』(※2)においても、感染者が確認された場合には、ただちに地域一律に一斉の臨時休業を行うのではなく、感染者及び濃厚接触者を出席停止とし、分散登校を取り入れたりしながら、各自治体の保健部局と連絡をとり、どの状況で臨時休業とするのか判断基準を決めるように、示されています。

※1:厚生労働省ホームページ
「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年7月1日18時時点)」
資料2スライド目
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000645700.pdf

※2:文部科学省ホームページ
『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~』
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00029.html