2009.03.30
アレルギー疾患の増加は、「超清潔社会」が要因かも・・・
年々花粉症やアトピー、ぜん息などのアレルギー性疾患は増え続けています。
この要因として、2005年3月18日付の当SN見聞録で詳しく報告しておりますが、この度、3月15日、22日付日本経済新聞「菌とつきあう」に同様の記事が掲載されましたので、その内容の一部を要約してご紹介します
●15日付「アレルギー性疾患」
「実は、微生物や寄生虫にかかった体験が私たちの皮膚をまもり免疫力をつけているという実態があるが、現代の日本の子ども達の成育環境が『超清潔社会』になり、この『超清潔社会』がこれらを一方的に追い出してしまった結果、免疫力の低下などをまねき、アレルギー性疾患増加の原因となっている。」
●22日付「免疫細胞のバランス」
「免疫細胞の六割が小腸に存在し、大腸と連携して免疫のバランスを調整している。腸内環境が悪いとバランスが崩れ、アレルギー症状が出やすくなる。従って、ちょっとした事で抗生物質を飲み過ぎたり、防腐剤や食品添加物を含む食品ばかりを食べてたりしていると腸内細菌のバランスが崩れてアレルギー症状が出やすくなるのである。最近、乳酸菌やビフィズス菌が含まれるヨーグルトをとると花粉症を予防できることもわかってきた。」
人間総合科学大学 藤田紘一郎教授の「菌とつきあう」続編29日付につきましては、次回以降ご紹介させていただきます。
以下は同じように岐阜薬科大学長に伺った興味深い2005年の当SN見聞録より一部を再掲しました。
・アレルギー性疾患増加要因として、
- 無菌食品(レトルト食品など)の市場が拡大し、それを摂取する機会の増加
- 抗生物質の過剰使用
- 清潔な環境での生育
・ 疫学的な実態として、
- 喘息は都市部に多い。
- 大家族の子供は発症し難い。
- 保育所など集団生活を早期に開始した子供の発症は低い。
- A型肝炎、トキソプラズマ(原虫)へリコバクターピロリ(細菌)などに経口感染していると発症し難い。
- 牧場で育った子供の発症は低い。
- 乳酸菌経口感染はアレルギーのリスクを低下させる。
- 出生前からペットを飼っている家に生まれた子どもの発症は低い。
ひたすら食中毒や汚染・感染回避のために衛生管理を徹底したことが一方でこのような状況の誘因になっていたとしたら、皮肉なことです。